別荘とセカンドハウスの税務上の違いとは?
別荘とセカンドハウスの違い
別荘とセカンドハウスはどちらも同じような感じに思えますが、税務上は明らかに異なります。皆さんおわかりでしょうか?
別荘とは、日常生活に利用しない家屋のうち、避暑、避寒等専ら保養のために利用する家屋をいいます。
一方、セカンドハウスとは、年間を通じ継続して毎月1泊2日以上居住する家屋を言います。
つまり、東京に住みながら、例えば軽井沢に家を建てた場合、毎月1泊2日以上していることが証明できれば、その建物は税務上別荘ではなく、セカンドハウスということになります。
別荘かセカンドハウスかによって大きく影響するのは不動産取得税と固定資産税です。セカンドハウスであれば税務上有利な取り扱いを受けることができます。
セカンドハウスにおける不動産取得税の取扱い
不動産取得税とは、土地や家屋の購入、家屋の建築などで不動産を取得したときに、その取得した者に対して課税される税金です。
ただし、相続や、離婚に伴う財産分与等により取得した場合には不動産取得税は課税されません。
不動産取得税は不動産を取得したときに一度だけ課税される地方税で、その課税主体は都道府県です。
建物に対する軽減措置
別荘の場合には、単純に建物の固定資産税評価額に4%を乗じた金額が不動産取得税として課税されます。
《計算式》固定資産税評価額×4%=建物不動産取得税(原則)
一方、セカンドハウスを新築したときには、その建物の固定資産税評価額に3%を乗じた金額が不動産取得税として課税されます。つまり、セカンドハウスとして認定された場合には、別荘よりも1%軽減されます。
ただし、床面積が50㎡以上240㎡以下の制限がありますのでご注意ください。
さらに新築のセカンドハウスの場合には固定資産税評価額から1,200万円(認定長期優良住宅の場合には1,300万円)を控除することができます。
《計算式》(固定資産税評価額-※1,200万円)×3%=建物不動産取得税(特例)
もし、中古のセカンドハウスを取得した場合には、固定資産税評価額から控除できる金額は、その取得した家屋が建築された次の日に応じ、それぞれの金額となります。
家屋が新築された日 | ※控除額 |
昭和56年7月1日~昭和60年6月30日 | 420万円 |
昭和60年7月1日~平成元年3月31日 | 450万円 |
平成元年4月1日~平成9年3月31日 | 1,000万円 |
平成9年4月1日~ | 1,200万円 |
セカンドハウスとして認定されるための証明方法
セカンドハウスとして認定されるには、毎月1泊2日以上利用していることが必要です。これを証明するには次のいずれかの方法によります。
①公共交通機関の領収書、高速道路の領収書、ETCの利用明細書による証明
②セカンドハウスの最寄りのスーパー等での買い物のレシートによる証明(滞在期間中の2日間以上のレシートが必要です)
この他、電気やガス、水道等の公共料金の領収書により証明することができます(使用量が0でないこと、また基本料金の支払いだけではないことが確認されます)
なお、セカンドハウスの認定の証明方法については、課税する自治体によって多少取扱いが異なる可能性がありますので、詳細については、取得した不動産のある都道府県の県税事務所(東京都は都税事務所)にご確認ください。
土地に対する軽減措置
別荘の敷地の場合には、単純に土地の固定資産税評価額に*3%を乗じた金額が不動産取得税として課税されます。
《計算式》固定資産税評価額 ×3%=土地不動産取得税(原則)
*本来は4%で令和3年3月31日までに取得した土地については3%
一方、セカンドハウスの敷地の場合には、原則で計算した金額から、次の計算式で計算した金額のうち、A、Bいずれか大きい金額を減額した金額が不動産取得税となります。
《計算式》固定資産税評価額※ ×3%-減額される金額(次のA、Bいずれか大きい金額)=土地不動産取得税(特例)
※令和3年3月31日までに取得した宅地の固定資産税評価額については『固定資産税評価額×1/2』となります。
A 45,000円(150万円×3%)
B 土地1㎡の価格(固定資産税評価額÷土地面積)×住宅の床面積の2倍(200㎡上限)×3%
セカンドハウスにおける固定資産税の取扱い
固定資産税とは、土地や家屋等を保有しているときに、その所有者に対して課税される税金です。
固定資産税は、毎年1月1日現在、土地、家屋等の所有者として固定資産課税台帳に登録されている人に対し、毎年課税される地方税で、その課税主体は市町村となります。
新築の居住用住宅に対する軽減措置
別荘の場合には、単純に建物の固定資産税評価額に1.4%を乗じた金額が固定資産税として毎年課税されます。
なお、固定資産税評価額は3年に1度、評価替えを行い価格を決定します。この評価替えの年度を基準年度といい、直近では平成30年度がこの基準年度にあたります。
《計算式》固定資産税評価額×1.4%=建物固定資産税(原則)
一方、令和4年3月31日までに住宅(別荘以外のセカンドハウスを含みます)を新築し、次の要件を満たしている家屋の場合には、新築後3年間(認定長期優良住宅の場合には5年間)、固定資産税が軽減されます。
【要件】
①居住の用に供するための家屋(専用住宅・併用住宅)であること(併用住宅は居住部分の割合が2分の1以上)
②床面積が50㎡以上280㎡以下であること
《軽減額》
・床面積120㎡までの家屋は、その全額
・床面積120㎡超の家屋は、120㎡に相当する固定資産税の2分の1
住宅用地に対する課税標準の特例
別荘の場合には、単純に土地の固定資産税評価額に1.4%を乗じた金額が固定資産税として毎年課税されます。
《計算式》固定資産税評価額×1.4%=土地固定資産税(原則)
一方、セカンドハウスを含めた専ら居住の用に供する家屋、またはその一部を居住の用に供する家屋の敷地となっている住宅用地は、一定の要件の下で課税標準額(固定資産税評価額)が1/3に軽減されます。
さらに、住宅用地のうち200㎡以下の部分の土地は、小規模住宅用地として課税標準額(固定資産税評価額)が1/6に軽減されます。
これらを一覧表にすると、セカンドハウスの固定資産税の土地の軽減措置は次のようになります。
家屋の種類 | 課税標準額 |
専ら居住の用に供する家屋 | 敷地全部について、通常の課税標準×1/3(200㎡までは1/6) |
居住割合25%以上50%未満 | 敷地1/2について、通常の課税標準×1/3(200㎡までは1/6) |
居住割合50%以上 | 敷地全部について、通常の課税標準×1/3(200㎡までは1/6) |
《注意事項》
固定資産税のセカンドハウスに適用される新築住宅軽減制度や住宅用地特例は、自己申告による任意のものですので、後で気が付いて申請しても過年度に遡って適用したり、提出期限後に受付したりする対応は通常していないようです。このため、上記の要件を満たしていると思われる方は、早めにセカンドハウスのある市町村の固定資産税の担当課にご確認ください。